子ども達がクレヨンを持ってぐりぐり描いたり、シールを貼ったり、そんなことができるようになってきたら、のりやハサミなどにも挑戦させてみたくなります。そんな時、道具や素材をサッと取り出して 子どもの興味を膨らませることができたら、先生も子どもの姿を見ているのが楽しくなりませんか。
今回は、1.2.3歳頃の子ども達にも、日常的に楽しめる造形環境を用意してみようというご提案です。
簡単な資料をダウンロード印刷していただけますように、末尾にご用意しました。園に「あったらいいなぁ」「やってみたいけど…」を かたちにする手がかりになりましたら嬉しいです。
アルテコローレのラボには、1歳3ヶ月頃〜未就園の子ども達が母子分離で通う “のびのび体験ラボ” というクラスがあります。以前は4時間の運営を行い、午前はみんなで楽しむ遊びを、午後はそれぞれがやりたいことを深める「自由遊び時間」をつくっていました。現在は2時間のみの運営で、自由遊び時間は15〜20分と短くなりましたが、この時間をたったの15〜20分設けるだけで子ども達の気持ちが温まり、日々できることが確実に増えていくのを実感できます。
この時間がここでの1日の始まりであり、楽しみとしている1、2歳児が多いんですよ!
園では子どもの人数が多いので、アルテコローレのようにはいかないだろうと思う先生もいらっしゃるかも知れません。ですが、のびのび体験ラボは1クラス12人のクラスも以前はありました。園ではコーナーを設け、スペースと時間を分けて少人数で取り組むことがおすすめです。

手軽につくる造形環境は、ワゴンがおすすめ!
書籍「何をつくるか決めない造形遊び そざい探究LABO(株式会社メイト様出版)」でもご紹介させていただいておりますが、今日は1〜3歳頃の子ども達向けの造形環境をご紹介します。

遊ぶ1〜2歳児さんの様子
造形素材や道具が日常的にあるアルテコローレでは、4月頃はもの珍しくいろんな素材や道具を手に取る子もいます。ですが、それらを使う時間とそうでない時を 1日の流れとして子ども自身がわかるようになると、大変さはなくなります。
とは言っても、園では毎日のことで人数も多いですから、毎日素材や道具に自由に触れられては先生も苦労します。
そこで、常に素材や道具を置いておかず、使う時だけ出してこれるワゴンをおすすめしています。

写真はアルテコローレで使っているワゴンです(IKEAで購入)。3つのワゴンを使い分けていますが、1つのワゴンを用意していただければ充分です。
このワゴンの中の道具は、主に15〜20分の自由遊び時間に使うので、日常使いできるものだけを揃えています。あれこれ揃えてみても使われないものが出てきますので、使いながら必要なものがあれば追加し、あまり使われないものは省くといった作業も定期的に行ってください。
各段に置くものは、たとえば
・上段=子どもの目線から見えにくく、手に取りにくいもの(ハサミやセロテープカッターなど主に先生が使用するもの)
・中段=固形絵の具×絵の具関連道具(筆や水など)、描いて遊ぶ道具(クレヨン、チョーク、スタンプなど)
・下段=紙系端材など、子どもが切ったり貼ったり手軽に楽しめる素材
といった感じで、段ごとに種類を分けると整理がしやすく、子どもに道具を取り出して貰ったり片付けて貰ったりを任せ易いです。

ワゴンと道具の用意について
最後の「ダウンロード」ボタンから、アルテコローレのワゴンに入っている道具についてざっくりまとめた資料をご覧いただけます。ダウンロードしてご参考ください。

道具には、子どもが使い易い工夫を取り入れます。
例えば、資料の中にある「水入りボトル」は常に水を入れておき、水道までわざわざ水を汲みに行かなくても筆洗い用のビンに注ぐことができるので、子どもから離れずに済みます。
筆洗いにガラスビンを使用するのは、筆を洗った時に水の色がどんどん変化していく様子を子どもが楽しむからです。また、ビンだと安定感があるので水をこぼしにくいというのもあります。
筆を濯ぐ時、柄の部分がビンの口にあたって“カラカラ”と聞こえてくる音も、可愛いですよ。

絵の具が固形タイプなのは、気軽に使えるからです。チューブや液体は、子どもが量の加減を調整しにくいので、準備の時に目を離せませんよね。使い慣れてくると、1歳6ヶ月頃の子どもが 固形絵の具と筆、ビン、水入りボトルを持ってきて、自分で準備して遊びますよ。
今日は、ワゴンと道具についてご紹介させていただきました。
次回は、「素材編」を書きたいと思います。
本日の資料はこちらよりダウンロードいただけますので、ぜひご参考いただけましたら嬉しいです。