2024.6.16 【そざい探究会】レポート 後編

2024.6.16 【そざい探究会】レポート 後編

前編では、午前の色水遊びの様子とその振り返りの様子をお伝えしましたが、午後からは氷をテーマに遊びを体験いただきました。

時間をかけ、じわじわと氷が溶けていく過程でさまざまな発見を楽しんでいると、次第に滲み絵ができていく遊びです。ここでは氷が主役であり、滲み絵が目的ではありません。

まずは色水遊びと同じようにカラーペンを使い、線を描いていただきます。
とは言っても“え?線?”と難しそうな表情を浮かべる先生も。そこで、導入にオススメの絵本を開いて見ていただくと、手がスルスル動きだしました。
きっかけがあると、説明がなくてもワクワクしながら動き出せるのは、大人も子どもと同じなのかもしれませんね。

絵本の中のオノマトペのことばにのせて、テーブルに敷いた紙はあっという間にカラフルな線でいっぱいになりました!

いよいよ氷に触れて遊びます。
冷凍庫から取り出したばかりの氷は真っ白にくもっていて、手にくっつくような感覚があります。

触れるうちに体温でくもりが取れて、透明に変化していく氷。
氷を覗くとギザギザや気泡を見つけたり、鼻の近くに持っていき嗅いでみると、冷気を吸って鼻の奥でヒンヤリ感じられたり…
すっかり手がヒエヒエになるまで、氷をじっくりと観察していただきました。
これだけで充分に楽しい、素材を知る遊びになると思いませんか?

こちらはひとりの先生の発見に、「どれどれ?」と集まってきた皆さん。こうやって誰かの発見や気づきを、その時参加しているみんなで共有して広がっていく体験、子どもたちにもしてほしいですね〜。

じ〜っと氷が溶けてく様子を観察する先生

せっかちで忙しい遊びになりがちな現代。時間を忘れてゆっくりと、素材が変化していくのを待ってみたり、自分ではない何かにペースを委ねてみたりするこの遊び。子ども大人も癒され、こんな体験が必要ではないかと感じています。

さて今回は、いろんなかたちの氷を用意しました。
“かたち”によって遊び方が広がりますので、これからの暑い季節に何度でも楽しんでいただければという提案です。

棒状の氷は「だからなんだ?」というモノですが、ただただかたちと感覚が面白いんですよ。にゅっとストローから取り出す感覚がけっこうクセになり、子どもたちと遊んだ時にもみんな夢中になって笑っていました。

板状の氷では、表面に塗った絵の具が凍ってカサカサになる感覚を、指先で体験。

これもまた、氷が溶けだしてからのお楽しみや発見があって、じっくりと時間をかけて楽しめます。

花をとじこめた丸氷

さいごに丸氷です。ここには花や素材を幾つかとじこめました。とってもきれいでうっとりしますよね。

氷に触れる先生方の手もきれいです。お気に入りの写真です。

とじこめられた素材をなんとか取り出してみたいと興味を持つ子どもが多いので、「これならなかなか触れられない子も、氷に触れることができそう」と気づいてくださった先生もいました。

重みが感じられ、ゴロゴロとずっしりとした音をたてて転がり、ぶつかるとカチンッといい音が聞こえる丸氷。転がしたり触れたりしているうちに、滲み絵がさらにじわじわと滲んで宇宙のようになっていきました。

今回のそざい探究会では、写真を見て遊びを振り返ったり、記録についても少し情報交換の時間を設けましたので、記録について悩んでおられる先生のお話をお聞きすることができました。
ただタイムオーバーとなってしまい、もっと深掘りしたり情報交換したかったな〜と反省。
そこで、今後はもうちょっとライトなそざい探究会も開催したいと考えています。

それから、ご参加いただきました先生方からメールをいただいており、その中から1つ皆さんにも共有したいと思う内容がありましたので、ここに残しておきます。

(※個人情報的な内容がわかる部分を省いています)

お写真共有いただき、改めて楽しくて学びのある時間だったなと実感しています。
素材と丁寧に向き合いながら、過程を楽しむ気持ちを改めて大切にしていきたいと感じました!ドキュメンテーションの作り方にもたくさんのヒントをいただき、次の作成時に活かしていきたいです!

本日、園にそざい探究会に参加した様子を報告させていただきました。面白い!と共感してもらえましたが、実際に保育に活かしたいと話したところ、子どもが素材を口に入れてしまうなどのリスクを考えるのが最優先なのが現状です。

以前の私は、上の先生の顔色ばかり伺っていましたが、納得していただいた上で自分のやりたい保育をするにはどうしたらいいかを考えたいと思えるようになってきましたので、上の先生方の考え方も理解しながら、安全かつ面白い活用方法を考えて、楽しい遊びを目の前の子どもたちが楽しめる方法で実践していきたい!と強く思いました!
これからも、子どもたちとわくわくする時間を共有しながら保育ができるよう探っていきます!

保育の引き出しが増えただけでなく、自分自身の保育に対する思いを再認識する、貴重な時間でもありました!またお会いできることを楽しみにしています。

きっとこれまでたくさん考えながら、前向きに成長されてこられたのだと思います。とてもステキだと感じ、私も頑張りたいと励みになりました。
同じようなご経験をされている先生が多くいらっしゃると思うのですが、なかなか思うようにいかない環境の中にも、きっとできることってあるはずです。

何よりまずは先生自身が楽しく、無理なく、今ある環境の中でできることをやっていく、それは子どもたちに伝わりますし、日々の遊びを変えていきます。

例えばですが、今回の色水や氷の遊びができないという環境であっても、そざい探究会で体験していただいた“楽しみ方”は、普段の製作活動や遊びにも活かすことができます。

そざい探究会の中で
「今まで私たち(先生)が選んだモノや色などの中でしか、子どもの選択肢がなかったかも」とか
「素材を感じて楽しむ過程を省いて、いきなり遊びが始まってたな」
それぞれに気づきを得てくださっていた先生がいらっしゃいましたが、
先生自身が遊びをどう考えるかにより、子どもへの提供のしかたも変わっていきます。

新しいアイデアを探し、新しく取り入れようとしなくても、いつもの遊びをちょっと見直して、もっと面白く充実させることを目指すのも大きな進展になります。

今後もそざい探究会で得ていただいた学びや情報が、普段の保育に役立つものになりますように、どんどんアップデートして開催していきたいと思いますので、ぜひご意見や要望もメールやLINEで教えてください。

ご参加の先生方、ありがとうございました!
そして最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました!

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