7月のごんべいの里保育園様では、前回まで年齢別に活動空間を分けて実践研修を行なってきましたが、新たな試みとして今回は異年齢混合での活動を行いました。
年齢差がある子どもたちが、同じ空間で、それぞれに楽しめることを安全に行えるように、異なる遊び場を3カ所設けました。
机と椅子を設置して落ち着いて取り組める場所と、のびのびとリラックスして遊べる場所を分け、空間への少しの仕掛けや、いくつかの道具を用意してどの発達の子も楽しみやすいように検討しました。
活動を始める前に、先生たちに場や道具の使い方をお伝えしていると、「私がやってみたい」と道具に興味を持ってくださった先生。この後子どもたちと遊びながら、気持ちをおさえきれなくなってご自身で楽しんでいました(笑)
メインの遊び場では、0〜3歳児のみんなが集まって遊びをスタートしました。
おはながみをヒラヒラ舞わせたり、透かして見る、ビリビリ破る、くしゃくしゃにするなど、素材を存分に楽しんでいましたが、みんな走り回ったり気分が盛り上がりすぎることなく遊び、問題はありません。
2、3歳児さんがあれこれ試して遊んだおはながみがたくさん散らかり、お花畑のようになった空間で、0、1歳児さんがくしゃくしゃのおはながみを手に取る姿がちらほら見えてきます。
楽しく遊ぶおにいちゃん、おねえちゃんの姿に刺激されたかのように、今回の活動では早い段階から自発的に参加する0、1歳児さんが目立っていました。
優しい色の素材がいっぱい散らかったこの空間も、子どもたちのワクワクを刺激する要素です。
床に散らかった素材を集め、次は道具を使って楽しみ方を変化させていきます。
3歳児さんが霧吹きを使いこなすのを見て、“私もやってみようかな”という感じで霧吹きを手にする小さな友達。
先生と一緒に新しい道具に挑戦しています。うまく使いこなせなくても、道具を握る体験は子どもの“やってみたい”気持ちを満たしますし、先生が寄り添い、手を添え手助けしてくれることも、遊びの満足度が高まります。
握ってレバーを引けば、お水がシュッと飛び出すなんて、驚きの体験ですよね!まずはどんな道具なのかを知るだけでも、知識と経験を1つ獲得です。
こうしていくつかの道具が加わっていき、先生と一緒に楽しむ子どもたちもいれば
自分のペースでもくもくと素材と向き合う子どもたちもいて
あちらこちらでいくつかの遊びが繰り広げられていたのでした。
こちらでは自由気ままにくっつけて遊び
こちらでは色水をつくったり
紙すきに挑戦していたり
すごくきれいにできて嬉しかったね!
誰にもじゃまされない場所を見つけ、キャンディづくりに没頭していた子もいましたし
ここでは何をしているのかな?と、友達の遊びに興味を持って
星やハートなどのかたちに型取りされた、おはながみ粘土を見ていた子も。
数日後の完成を、子どもも先生も楽しみに待つ製作物もありました。
今回は、先生や私から「こんな素材を使って遊ぶよ〜」と子どもにアプローチをかけるのではなく、誰かが遊びを1つ始めたら、みんなそれぞれにやりたいことを選んで遊び始めるという、子ども同士で広げていった活動となりました。
子ども自らがそのように遊びを広げていくには、場の使い方のちょっとした工夫と、遊びを広げる道具がきっかけとして必要になると考えます。
そこで間違えてはいけないのが、場と道具がきっかけとして存在しても、遊びの広がりには限界があるということです。
造形遊びは、子どもそれぞれの遊び方楽しみ方があっていい活動なので、ただ与えるだけでは本質が発揮されません。
造形遊びの本質というのは、子どもがそれぞれに遊びをイメージして、自ら試行錯誤していき、自分なりの表現を楽しむことなのですが、はじめから子どもたちみんながそうできるとは限りません。遊びにも経験値が関係するのです。
だから、子どもたちに手がかりを与えたり、発想の手助けをする“人”の存在が必ず必要です。
それは保育者の先生たちであり、おにいちゃんおねえちゃんだったり、おとうといもうとだったり、みんなが互いに教え合って、学び合っていくことが、素材、道具、場を活かすためにいちばん必要なことだと考えます。
日常の造形コーナーやアトリエづくりにもこうした考えを取り入れていただくと、その場がうまく機能して、素材や道具が活かされていくと思います。
次回8月は、「カラーセロファン」で遊びを行います。
ごんべいの里保育園 様インスタグラム
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